社長は現役○○○だった!? 素顔に迫る【後編】はこちら
2017年冬のアニメシーンを席巻した、TVアニメ『けものフレンズ』(略して「けもフレ」)。
4月14日のテレビ朝日系『ミュージックステーション』に主題歌を歌う「どうぶつビスケッツ×PPP」が出演するなど、最終話放送後も快進撃を続けています。
以前Yutty!では速報として、「ケロリン桶」で有名な内外薬品が『けものフレンズ』とコラボレーションすることをお伝えしました。(→すごーい!けものフレンズとケロリン桶がコラボレーションだって!)
そして今回! なんと! Yutty!取材班は内外薬品東京支社に独占インタビューを敢行、けものフレンズ×ケロリン桶のコラボ秘話を聞いてきました!
いざ内外薬品さんへ
ここは東京神田のとあるビル。
こちらの5階に内外薬品さんの東京支社(本社は富山)があると聞いてやってきました。
入り口には医薬品「ケロリン」や「ダイアフラジン」の箱が。
ドキドキ・・・・
ということで、「ケロリン桶」を持って迎えてくださったのは、とても優しそうな内外薬品代表取締役社長・笹山敬輔さんと、貫禄のあるコラボ企画担当の北村学さん。
けものフレンズの印象
まず、お二人の『けものフレンズ』の印象について教えてください。
私は全話を3回は見ました。私も生物が好きで今の仕事をしているので、1話でサーバルちゃんの手の動きを見たときに「これはすごい!」と思いました。
作品に込める執念がすごくて、脚本が一貫してまとまっていて乱れることがない、近年稀に見る作品です。作品に漂う「ディストピア的な雰囲気」*も個人的にとても好きなんです。
*終末世界のこと。「ポストアポカリプス」と呼ばれることもある。
サーバルちゃんが主人公を褒めてくれたり、苦手なことより得意なところに注目してくれたりする内容も人気を集めていますね。
まさにそうですよね。なんでも100%肯定してくれるサーバルちゃんの存在は、とても大きいでしょう。「さばくちほー」で「砂しかない」ではなく「砂がある」というところなどに、作品の本気を感じました。
サーバルちゃんがいろんな「ちほー」で初めて見たものを純粋な目で「すごーい!」と楽しむことで、見る人たちも童心に帰るというか、心の中にある少年時代を呼び覚ますのかもしれません。
じつは私は、まだ全話見ているわけではありません。しかし弊社がコラボをすると告知してから、同世代の友人たちからたくさんの連絡をもらって「あ、ものすごい人気作品なんだな」と実感しました。私は理系少年だったので、子供のころ動物図鑑や恐竜図鑑をよく読んでいて、『けものフレンズ』にはそういう子供の時のワクワク感がありますよね。
なるほど! ちなみに言うと、私はジャパリカフェの「アルパカ・スリ」の声を一日一回聞かないと寝付けないレベルのフレンズですね。
ノスタルジックな「けもフレ」がケロリンにぴったりだった
コラボレーションのきっかけについて教えてください。
私はそのクールに放映されるアニメ作品の1話は全て見るようにしています。その中でも『けものフレンズ』は1話で心が惹かれました。4話が終わったころには「この作品とコラボしたい!」と決意して、その場でKADOKAWAさんに連絡を入れました。
弊社は『ケロロ軍曹』以来大きなアニメ作品コラボをしていなかったのですが、作品を観て、「『けものフレンズ』の世界観なら弊社のケロリン桶にぴったりだ!」と思ったのです。
企画会議の時、KADOKAWAの編集長さんが「この作品のテーマの一つはノスタルジーです」とおっしゃっていました。
まさにそのノスタルジックな世界観が、様々な場面で「ノスタルジー」「昭和」のシンボルとして扱われる弊社のケロリン桶と非常にマッチしたんです。
北村さんからコラボ企画の連絡を受けた時、笹山社長はどう思われましたか?
当時はまだ作品について詳しくは知りませんでしたが、これまでの信頼関係があるKADOKAWAさんなら大丈夫だろう、と思いました。
「風呂桶だからこそ温泉キャラで」
コラボしたいと思い立ったのは2月の上旬です。そしてタイミング良く今年の2月10日に、ケロロ軍曹コラボ桶の販売がちょうど6万個を達成したので、ご挨拶も兼ねてかつてケロロ軍曹の時にお世話になったKADOKAWAの担当者に連絡を入れたんです。
そうしたらすぐ「では一度、『けものフレンズ』の担当者と打合せしましょう」とお返事がありました。これが始まりです。
そうなんですね! 大きな会社であるKADOKAWAの、人気プロジェクトである『けものフレンズ』でその速度感はすごいですね。
それから一ヶ月、デザインやコラボ内容をつめていったのですが、じつは最初、デザインは一種類で、サーバルちゃんの予定だったんです。
ところが途中でKADOKAWAさんから、「せっかくの“風呂桶”ですし、9話の温泉回に登場するキャラクターのほうが必然性があっていいんじゃないでしょうか?」」と提案があったのです。それで、デザインは温泉管理人の2人にしようと。
当初は2人一緒のデザインを1つの桶に入れようかという話もあったんですが、結果的に2種類の桶を製造することになりました。
まず、桶の印刷の都合です。それと、『けものフレンズ』のテーマは「生命賛歌」だと思うんです。
この作品は「みんなでドッタンバッタン」するから素晴らしい。だったら1種類である必要もないんじゃないかと。それで2種類作りましょうということになりました。
KADOKAWAの編集長さんと宣伝さんからはすぐにGOサインが出ました。
そうすると次はデザインです。当初は薬や健康にちなんだキャッチフレーズをつける予定だったんですが、より作品の世界観を表すならセリフのほうがいいだろうとなりました。
ところが、肝心のセリフが決まらない! この作品は全てを同時並行で作っているので、放送されるセリフがギリギリまでわからないんです。
最終的に確定したセリフが届いたのが2月末の夜。そこから桶に載せるセリフを選んで3月初旬にデザインを入稿して、3月9日にプレスリリースを出す頃にはすでに製造を開始していました。
必死でした。どうしても最終話の放送までに製品を出したかったんです。この速度は海外生産では難しいと思います。おかげさまで、すべて国内生産という弊社の強みを発揮することができました。
ちなみに、弊社のケロリン桶には関東版と関西版がありますが、今回のは関東版になっています*。
そして、なんと最終話が放送される前の3月25日〜26日に開催されたAnimeJapan2017での販売にこぎつけたと!
そうですね、AnimeJapanには1000個以上納入しましたが、想定を上回る数のお買い上げをいただきました。
なお、価格は通常のケロリン桶と同じ1,300円(税抜)。これは「アニメ価格には絶対しない」という弊社の原則にのっとっています*。
最終話目前には、ニコニコ動画で一挙放送も行われました。いろんなことがすごいスピードで動いていましたね。
そうですね! コラボを進めていて感じたことですが、KADOKAWAさんや、関係する皆さんの作品への愛情が本当に素晴らしいのです。この愛情があるからこそ、可能になった企画も多いでしょうね。
ちなみに『ケロロ軍曹』の原作者である吉崎観音先生は、『けものフレンズ』でもコンセプトデザイナーを務められていますが、これも何か関係があるのでしょうか?
いえ、それは単なる偶然です。ただ、『ケロロ軍曹』は子供向け作品でありながら大人も楽しめる「サブカル系」の側面があり、『けものフレンズ』もそういったコンセプトですから、その点は吉崎先生のお力は大きいのではないかと思います。
どちらのキャラクターも、子どもから大人までみんなが受け入れられるデザインですよね。これはまさに吉崎先生が描かれた作品ならではということは間違いないでしょう。
生産が間に合わないほど人気に(でも続々製造中)
じつは、ちょうどいま第一次生産分が発送準備にかかっていて、まもなく皆様の元へ到着します。
ありがたいことに、予約開始日に1000個、現在(4月上旬)までにすでに1万個のご予約をいただき、いま工場で大増産をかけています!
弊社のケロリン桶の年間販売数は約4〜5万個なので、「けもフレ桶」だけで4分の1くらいは売れていることになります。
まさに「やったね!」ですね。 初回限定ではなく続々生産しますので、今手に入らなかった方も、安心して予約してください!
そうですね、この企画を通じて、「ケロリン」をもっと皆さんに知ってもらえれば、私としてもOKを出した甲斐があります。
ケロリン桶、30年は使えます
『けものフレンズ』ケロリン桶を買われた皆さんに何かメッセージをお願いします。
今回のコラボ桶も、通常のケロリン桶と同じく、タワシでこすっても落ちない埋め込みインク「キクプリント」で印刷されています。
ケロリン桶自体もかなり頑丈で30年は使えますので、作品と一緒にぜひ長く愛して下さればと思います。
「ケロリン桶」と『けものフレンズ』のコラボレーションは、けっして長い時間をかけて企画されたものではなく、100年の老舗製薬会社とKADOKAWAという大出版社の抜群のコンビネーションの中で、わずか1ヶ月という期間で実現したものでした。
笹山社長は現役○○○のフレンズ!? その素顔とは
なんと今回のインタビューでは笹山社長が現役○○○だったことが判明!
【後編】では取材で明かされた、「内外薬品流」の働き方や成功する「アニメコラボ」の秘訣をご紹介します!
【後編】100年企業の「企画力」〜アニメコラボに見る老舗製薬の仕事術〜
なぜ内外薬品は、このようなスピード感のあるチャレンジができたのか? その裏には、まさに「みんなで信頼しあい」「得意なことを大切に」する『けものフレンズ』さながらの企業文化・風土がありました。
※「ケロリン®」は内外薬品株式会社の登録商標です
YUTTY!の公式Twitter!・Facebookをフォローしよう!
公式Twitter()
公式Facebook https://www.facebook.com/yutty.japan/
関連リンク
関連記事1:【画像あり】すごーい!けものフレンズとケロリン桶がコラボレーションだって!
関連記事2:なぜ銭湯といえばケロリン桶なの?製造元の内外薬品に突撃調査!
関連記事3:ケロリン桶の工場見学に行ってきた!職人ワザの◯◯は必見!
けものフレンズプロジェクト 公式サイト http://kemono-friends.jp/
けものフレンズ 公式Twitter (@kemo_anime)
内外薬品株式会社 ~ 頭痛・生理痛・歯痛にケロリン https://www.naigai-ph.co.jp/
ケロリンファン倶楽部 https://www.kerorin.com/
販売情報
キャラアニ:http://www.chara-ani.com/list.aspx?search=k:kemonofriends
KORDER:http://www.korder.com/list.asp?keyword=kemonofriends
※「けものフレンズxケロリン桶」の著作権はけものフレンズプロジェクトAに帰属し、株式会社KADOKAWA及び内外薬品株式会社の許諾のもと使用しています。当記事で使用している画像、内容の一切の無断引用を禁じます。
本記事の情報は記事掲載時のものであり、現在とは異なっている場合がありますので、予めご了承ください。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
The following two tabs change content below.
Yutty!編集長、歴史トラベルライター。歴史と入浴文化を中心に世界各地を取材。元温泉ホテル設備管理者。水利用施設環境衛生士、温泉健康指導士。えにし書房『台湾へ行こう! 見えてくる日本と見えなかった台湾』(藤田賀久, 大谷優介/平賀匡)著、集英社「週刊プレイボーイ」『新世代スーパー銭湯対決!』取材協力など。