【熊本応援】SLで行く人吉「新温泉」が超絶シブかった。

熊本県人吉市にある檄シブ公共浴場「新温泉」は「そこだけ時が止まった」セカイ。今回は、この「新温泉」をはじめ、国宝「青井阿蘇神社」、「SL人吉」など、人吉の魅力をたっぷりお届けします。

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2016年(平成28年)4月14日21時26分、突如熊本を大きな揺れが襲いました。

度重なる揺れに家々も倒壊し、何より熊本県の象徴である名城「熊本城」の石垣や櫓が崩壊したことに、大きなショックを受けた方も多いかと思います。

また、阿蘇山に近い阿蘇神社も重要文化財の楼門が全壊するなど、県内各地で被害を受けたことに、胸が痛みます。

今回はその「阿蘇神社」の分社のひとつ、「青井阿蘇神社」を有する人吉市にある、ノスタルジーあふれる公共浴場「新温泉」をご紹介します。

人吉温泉

人吉駅の写真
Yutty!編集部撮影

熊本駅から肥薩線に揺られること2時間の人吉市は熊本県最南部にある球磨川沿いの市で、周囲を山に囲まれた自然豊かな街です。
「ウッチャンナンチャン」のウッチャンこと内村光良さんの出身地であり、人気コミック「夏目友人帳」の舞台の一つともされています。

その人吉市にある「人吉温泉」は、昭和初期に発展が進んだ熊本の温泉地のひとつです。熊本の温泉といえば、黒川温泉が有名ですが、この人吉温泉も黒川温泉に負けない、良質な温泉地です。

「新温泉」

人吉温泉には数多くの温泉旅館の他に、いくつかの共同浴場があり、その中でも人吉で最も古いと言われる「人吉温泉 元湯」「新温泉」は、かなり情緒のある温泉浴場となっています。

今回ご紹介するのは「新温泉」「新」と名前が付いていますが、それは「元湯」より後にできたという程度の意味で、恐らく日本で最もノスタルジックな温泉のひとつと言っても過言ではありません!(編集長脳内調べ)

外観

新温泉の外観の写真
Yutty!編集部撮影
新温泉の外観の写真
Yutty!編集部撮影

外観はこんな感じ。一見、温泉浴場には見えません・・・。

新温泉の外観の写真
こういう路地を通ったところにある(Yutty!編集部撮影)

住宅街の細い路地にあり、初めて行くと見落としてしまいます。私も事前にGoogle Mapで調べて行ったのですが、迷いました

脱衣所・番台

新温泉の外観の写真
Yutty!編集部撮影

木戸をガラガラと開くとそこは・・・

新温泉の脱衣所の写真
Yutty!編集部撮影

思わず「すごい・・・」と声が出ました。そこだけ完全に時が止まっていました。

新温泉の脱衣所の写真
Yutty!編集部撮影
新温泉の脱衣所の写真
Yutty!編集部撮影

懐かしい体重計や看板、マッサージチェアたちはもはや「レトロ博物館」の世界です。

新温泉の脱衣所の写真
Yutty!編集部撮影

“番台”で入場料を支払います。石鹸も貸してくれます。

激シブ浴場

新温泉の脱衣所の写真
Yutty!編集部撮影

浴場には湯船が二つ。どちらも黒褐色の湯で、ものすごい湯の花です。

一方は寝湯、もう一方が普通の湯船となっています。人吉温泉観光協会によると、泉質は単純泉ですが、褐色のお湯でした。

新温泉の浴場
トリップアドバイザー

そしてなんとここ、「カラン」がありません!

小さな鏡のがついた石鹸台があるので、そこに座って、お湯をすくって身体をゆすぎます。

入口の近くに「あがり湯」と書かれた蛇口があり、ここでタオルなどを洗いましたが、こちらも源泉でした。

とろとろとしたお湯はぬるめで、ぬる湯好きにはたまりません。

何時間でも入っていられそうでしたが・・・列車の時間もあり泣く泣く上がりました。

新温泉の外観の写真
Yutty!編集部撮影

「もう一度絶対に来る!」とそう胸に誓った素晴らしい公衆浴場「新温泉」。熊本を応援するという意味もふくめ、ぜひみなさんに訪れて欲しいと思います。

人吉温泉「新温泉」

新温泉の浴場

熊本県人吉市にある共同浴場。古くからの原型を留めたノスタルジック空間はまさにタイムスリップしたかのよう。

住所: 熊本県人吉市紺屋町80−2

アクセス: JR人吉駅より徒歩10〜15分

入浴料: 300円

  • 天然温泉
  • 露天温泉
  • 掛け流し
  • 貸し切り
  • 日帰り
  • サウナ
  • 送迎バス
  • 駐車場

青井阿蘇神社

青井阿蘇神社の鳥居の写真
Yutty!編集部撮影

さらに人吉を旅行した際にぜひ訪れてほしいのが、「青井阿蘇神社」

青井阿蘇神社の楼門の写真
Yutty!編集部撮影

本社である阿蘇神社に比べ若干マイナーな存在ではありますが、なんと本殿・拝殿や楼門などはすべて「国宝」

青井阿蘇神社の拝殿の写真
Yutty!編集部撮影

国内でも珍しい「茅葺屋根」がとても特徴的な青井阿蘇神社は、1610年に建造されて以来一度も失われることなく、2008年に熊本県初の国宝に指定されました。「茅葺屋根」の効果か、なんだか普通の神社とは少し異なる雰囲気・・・自然豊かな街のパワースポットでした。

アクセス

JR九州ウェブサイト列車MAPより作成
JR九州ウェブサイト列車MAPよりより作成

人吉温泉は熊本駅からJR肥薩線で2時間、もしくは鹿児島駅からはJRを乗り継いで3時間の場所にあります。
JR人吉駅から「新温泉」へは、徒歩で約10分。大きな荷物は駅のロッカーに預けると良いでしょう。

人吉に行くならSLで!

SL人吉の写真
Yutty!編集部撮影

熊本市内から人吉温泉へ行くならぜひ乗って欲しいのがこちらの「SL人吉」。熊本駅〜人吉駅を結ぶ快速列車「SL人吉」は、JR九州の運行する唯一のSL列車で、大正時代に作られた「8620形」というSLがレトロな客車を牽引して、山あいの線路を疾走します。

SL人吉の写真
Yutty!編集部撮影

客車内も、豪華な展望室があったり、鉄道模型が展示されていたりと、乗っている間もずっと楽しめる列車になっています。

SL人吉の車内の写真
Yutty!編集部撮影

編集部オススメの車窓は球磨川に沿って走る区間(八代〜人吉間)。人吉行の場合は進行方向左側がオススメです。
また途中の「一勝地」駅では停車時間中に限定の「必勝お守り切符」も購入ができます!

SL人吉の車内の写真
展望車ではアテンダントさんと記念撮影も可能(Yutty!編集部撮影)

「はやとの風」「いさぶろう・しんぺい」

鹿児島・霧島温泉方面からのアクセスでは吉松駅で接続する特急列車「はやとの風」(鹿児島中央〜吉松)と観光列車「いさぶろう・しんぺい」(吉松〜人吉)がオススメ!

特急「はやとの風」の写真
特急「はやとの風」と吉松駅(Yutty!編集部撮影)
特急「はやとの風」の車内の写真
特急「はやとの風」の車内(Yutty!編集部撮影)
「いさぶろう・しんぺい」の外観の写真
観光列車「いさぶろう・しんぺい」(Yutty!編集部撮影)
「いさぶろう・しんぺい」の車内の写真
観光列車「いさぶろう・しんぺい」の車内(Yutty!編集部撮影)

どちらもJR九州を代表する人気観光列車で、木造のレトロ駅舎として人気の嘉例川駅、「壁に名刺を貼ると出世する」と言われる大畑駅、「幸せの鐘」のある真幸駅など見所が盛りだくさんで、3時間の乗車はあっという間です。

乗り継ぎの合間に温泉へ!

人吉駅の改札口の写真
人吉駅の改札口(Yutty!編集部撮影)

熊本方面からの下り「SL人吉」(09:45熊本発  12:09人吉着)は「いさぶろう3号」(13:22人吉発)に、鹿児島方面からの「しんぺい2号」(11:49吉松発  13:05人吉着)は上り「SL人吉」(14:38人吉発)にそれぞれ接続しています。どちらも1時間半程度の待ち時間があるので、日帰り入浴にぴったり!!
人吉温泉は日帰り入浴を実施している旅館も多いので、ぜひ「あなただけの人吉」を見つけてみてくださいね。

引用:JR九州WEBサイトより
「SL人吉」時刻表(引用:JR九州ウェブサイトより)
「いさぶろう・しんぺい」時刻表(引用:JR九州WEBサイトより)
「いさぶろう・しんぺい」時刻表(引用:JR九州ウェブサイトより)

宿泊は「ブルートレインホテル」で

「ブルートレインたらぎ」の写真
「ブルートレインたらぎ」(引用:多良木町役場WEBサイトより)

さらに鉄道好きな方やファミリーにオススメなのが、多良木町にあるホテル「ブルートレインたらぎ」。近年、寝台列車の引退を受けて各地に広がりつつある「ブルートレインホテル」の中でも先駆けとなったものの一つです。

かつて東京と九州を結んでいた寝台特急「はやぶさ」号の往年の1人用のB個室「ソロ」や4人用のB開放寝台がそのままホテルになっているので、ちょっと変わったホテルにお子さんも大喜びのはず!

「ブルートレインたらぎ」へは人吉駅からくま川鉄道湯前線で約30分、「多良木」駅そば。(詳細・予約・問い合わせは「ブルートレインたらぎ」公式ウェブサイトへ)

おわりに

温泉、SL、ブルートレインホテル・・・ノスタルジックな世界が広がる熊本「人吉温泉」いかがでしたでしょうか?

今回の地震では熊本県、そして湯布院や別府のある大分県が地震で大きな被害を受けました。Yutty!は「温泉」というコンテンツを通して、熊本・大分の一刻も早い復興をお祈りしております。


本記事の情報は記事掲載時のものであり、現在とは異なっている場合がありますので、予めご了承ください。

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大谷優介

大谷優介

Yutty!編集長、歴史トラベルライター。歴史と入浴文化を中心に世界各地を取材。元温泉ホテル設備管理者。水利用施設環境衛生士、温泉健康指導士。えにし書房『台湾へ行こう! 見えてくる日本と見えなかった台湾』(藤田賀久, 大谷優介/平賀匡)著、集英社「週刊プレイボーイ」『新世代スーパー銭湯対決!』取材協力など。