なぜ銭湯といえばケロリン桶なの?製造元の内外薬品に突撃調査!

誰もが知っているケロリン桶。けど、なんでケロリン?ケロリンって何?そんな疑問を解決すべく調査してきました。実は関東と関西で大きさが違う!など、豆知識もありますよ!

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日本全国各地の銭湯や温泉で数多く目にする、ケロリン桶。でも、なぜ銭湯と言えばケロリン桶なんだろう。そもそもケロリンって何?銭湯でケロリン桶を見かけては疑問に思っていました。

と、いうことで!今回はケロリン桶の製造元、内外薬品株式会社の笹山取締役にケロリン桶のナゾについてお話をうかがいました!

ケロリンは漢方風で人気の痛み止め

編集部「よろしくお願いします。早速ですが、ケロリンって何ですか?」

笹山氏「ケロリンは頭痛や生理痛に効く痛み止めです。痛み止め成分のアスピリンは胃の粘膜を傷つけることがありますが、ケロリンは桂皮(シナモン)が入っていて、これが胃の粘膜を保護してくれるのが特徴なんです。」

鎮痛剤ケロリン

笹山氏「ケロリンの販売当初は、まだまだアスピリンなどの西洋医学って皆さん抵抗があったみたいなんです。でもケロリンは箱に鼻を近づけるとシナモンの香りがしますよね?この香りのおかげで漢方に近いイメージを持って頂けて人気になりました。今も昔からの利用者に人気がありますよ。」

木桶からプラスチック桶に変わる流れが普及を加速

編集部「でも、なんで湯桶にケロリンのマークが入っているんですか?」

笹山氏「約60年前、多くの銭湯ではまだ木の桶を使っていたんです。ただ木桶だと、壊れたりカビが生えてきたりと耐久性や衛生的な問題があるじゃないですか。そんな時、プラスチックが普及しはじめて、桶も木からプラスチックに変えようという流れが出来てきたんです。」

笹山氏「そのころ、当時の広告代理店『睦和商事』がプラスチック桶に広告を載せて販売しようと思いついてスポンサーを探していたときに辿り着いたのが内外薬品だった、というワケです。」

ケロリン桶

裏では社長による気合いの全国営業!

編集部「けど、それだけでここまで広がるものなんですか?」

笹山氏「実は、これだけ全国で使われるようになったのにはもう一つ理由があります。」

笹山氏「この『湯桶に広告を載せる』というアイデアを思いついた睦和商事は、内外薬品にスポンサーが決まった後、なんと社長自信が全国の銭湯や温泉へ直接足を運んで売り歩いたそうなんです!」

編集部「社長自ら全国行脚・・めっちゃ気合い入ってますね。」

笹山氏「しかも、桶だけじゃなくて薬も売ってもらってました。当時は置き薬から薬局で薬を買うことが増え始めた頃なんです。だから、ケロリン自体も薬局に置いてもらうために全国営業が必要だったんですよね。一時期は昼に薬局へケロリンを売って、夜は銭湯に桶を販売する、という昼夜問わず営業をしていただいてたみたいです。」

内外薬品が持っている中でかなり古いと言う薬箱
内外薬品が持っている中でかなり古いと言う薬箱

笹山氏「それが功を奏してかケロリン桶は多くの銭湯で使われて、痛み止め「ケロリン」自体の知名度も上がっていきました。結果として多くの薬局が取り扱ってくれるようになりました。『湯桶に広告』というのが上手くいったということですね。」

その後「睦和商事」はケロリン桶の部門を内外薬品に事業譲渡し、今では桶の製造などケロリン桶に関することは内外薬品が行っているとのことでした。

総販売数は推定250万個!脅威の耐久性でシェアが純増

編集部「ちなみにケロリン桶って、どのくらいのシェア取ってるんですか?」

笹山氏「実際にどのくらい使われているのかは正直把握出来ていません。ただ、ケロリン桶は今から約50年前に製造をはじめていて、製造数は昔から変わらず年間約5万個なんです。ということは・・・」

笹山氏「単純計算すると50年×5万個=250万個は製造・販売していることになりますね。」

編集部めっちゃ売れてる!

笹山氏「しかもケロリン桶は耐久性も非常に高いんです。実はケロリン桶って約50年前の発売初年度だけは白い物を作ってたんです。その発売当初の白い桶がいまだに使われている銭湯がどこかにあるという噂があるんです!つまり、50年間現役で使える桶なんですね。」

笹山氏「その耐久性から『永久桶』とも言われるそうで、買い換える必要がないのもシェアを伸ばした理由の一つだと思います。」

編集部「銭湯で見かけるケロリン桶って異様に年季入ってると思ってたけど、そういうワケか・・・」

銭湯が激減する中、ケロリンファンが増え販売個数を維持

編集部「でも、銭湯って激減してるじゃないですか。ケロリン桶の出荷ってなんで減ってないんですか?」

実はタウンページの情報によると、銭湯の個数は、1989年から2012年でなんと4分の1にまで減っているのである。

銭湯の数はここ20年あまりで4分の1まで減少
出典 : タウンページデータベース 第23回 日本一お風呂好きの都道府県は?【全国ランキング】

笹山氏「確かに銭湯への販売は頭打ちになっていると思ってます。ただ、ありがたいことにケロリン桶のファンが結構いらっしゃって小売りの桶も売れてるんです。だから販売数は変わっていないんですよ。」

笹山氏「おかげさまで最近では桶以外のグッズも増えていて全部で10種類以上のラインナップになっています。」

ケロリン桶のグッズ ストラップから石鹸まで幅広い。(写真提供 : 内外薬品)
ケロリン桶のグッズ ストラップから石鹸まで幅広い。(写真提供 : 内外薬品)

最近はアニメのコラボも多数

笹山氏「最近は、よりケロリンに親しみを持ってもらうために色々な企画ともコラボしています。その一つがケロロ軍曹。たまたまtwitterのアカウント名がケロリン(@KERORIN_PR)とケロロ(@keroro_PR)で似ているので、じゃあ何かコラボしようという話になって実現しました。」

編集部「製薬会社なのに意外とノリが良いですね!」

ケロロ軍曹とのコラボケロリン桶
ケロロxケロリン桶:© 吉崎観音/角川書店・サンライズ・テレビ東京・NAS・BV

その後も、銀河英雄伝説のロゴが載ったケロリン桶や、ドラマど根性ガエルのDVDBOX特典として、ど根性ガエルのコラボケロリン桶が登場しているそうです。

銀河英雄伝説とのコラボ商品がNISSENから発売
銀河英雄伝説とのコラボ商品がNISSENから発売。詳細はこちら
銀英伝xケロリン桶:(C)田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっふ・サントリー

いますぐ飲み会で使える!ケロリン桶の豆知識

編集部「せっかく取材に来たので、何か飲み会で使える豆知識とかもらえないですか?」

笹山氏「結構無茶振りですね・・。例えば・・、ケロリン桶は関東版と関西版があってサイズが違うとか、もともとケロリン桶は白かったとか、幻の脚付きバージョンがある、とかですかね。」

編集部「一個ずつ解説してください!」

ケロリン桶は銭湯文化の違いから関東と関西でサイズが違う!

実はケロリン桶は関東と関西でサイズが違うんです!関東版は重さ360g 直径225mm 高さ115mmなのに対して、関西版は重さ260g 直径210mm 高さ100mm一回り小さくなっています。

これは関東と関西の銭湯文化の違いが理由。下の画像のように、関東と関西では一般的な銭湯の作りが違います。

関東と関西の浴槽の違い

作りが違うと入浴の流れが変わります。

関東では風呂に入るとき、先に洗い場があるので洗い場で体を流してから入るのに対して、関西は先に浴槽があるので浴槽のお湯で体を流してから入ります。

すると、関東で使われているサイズだとお湯をすくった際に重すぎるし、お湯を使いすぎてしまってもったいない。このことから、関西版は一回り小さく作られているそうです。

もともとケロリン桶は白かった!

ケロリン桶の原料は乳白色のプラスチック。実は、一番最初のケロリン桶は未着色の白い桶として売られていたんです(写真右)。ただ、白い桶だとどうしても湯垢が目立ってしまうので黄色く着色するようになりました。

ケロリン桶 50年前の白いバージョン
ケロリン桶 50年前の白いバージョン

この白いケロリン桶、そもそも最初は小売りもやっていなくて最初の一年程度しか販売されていないので激レア。非常にプレミアが付いていて、Yahoo!オークションで調べたら直近の落札額がなんと約4万円!黄色いケロリン桶は小売店で1500円程度で売られているので、25倍以上もの価格になっていました。

幻の脚付きケロリン桶がある!

ケロリン桶の下に脚がついている、脚付きケロリン桶というのもあります。これは女性が長い髪を洗いやすくするために、高さをつけて作られたものらしいです。

これはWebで調べても流通していなかったので、もし手に入ったらとんでもないプレミア価格になるかも・・・?

他にも、ケロリン桶を全国に広めた「睦和商事」がまだケロリン桶を販売していたころ、ケロリン以外にもロゴを入れるサービスをやっていたようです。なので、古くからやっている温泉に行くと他のレアケロリン桶が見られるかもしれません。

ケロリン桶、超手作業で作っていた!

実はケロリン桶の製造、風呂で使われる事や多くの方に使ってもらうことを想定しているので肌を傷つけないように一つ一つ手作業でバリ(尖った部分)を削っているんです。

ケロリン桶は手作業でバリを取っている

お風呂で使うときは肌もやわらかくなっているし子どもたちも使うものだからこそ、このような細かい気遣いをしているそうです。

そんなケロリン桶の製造現場に突撃!

笹山氏に聞いてみると実はケロリン桶は群馬県の高崎市で作られているそう。これは突撃するしかない・・・!と、取材を申し込んでみると快くOKしていただきました!ということで・・・

後編 : ケロリン桶の製造工場に行ってきた!

一つ一つ手作業で作られているというケロリン桶、実際にどのように製造しているかを工場見学してきました!


本記事の情報は記事掲載時のものであり、現在とは異なっている場合がありますので、予めご了承ください。

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