【おける湯学日記1】静岡・伊豆長岡温泉 「小松家 八の坊」宿泊レポート【動画レポ】

テレビや雑誌でも取り上げられている東大温泉サークルOKRの新連載「おける湯学日記」。第一回は伊豆長岡温泉の旅館【小松家 八の坊】のご紹介です!

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筆者:東大温泉サークルOKR(おける) 東京大学の温泉好きが集まって結成された現役学生サークル。「本気で温泉を探求」し、「真剣に温泉と向き合う」サークルとして日本テレビ『ヒルナンデス』やテレビ東京『車あるんですけど…?』などに出演。学園祭では温泉地とコラボレーションした模擬店企画を行い話題に。公式ウェブサイト: http://okr-u.tokyo/visitor/ Twitter: https://twitter.com/ut_okr

こんにちは!東大温泉サークルOKR代表の比護です。

私たちのサークルでは11月末に行われた東京大学の第66回駒場祭で、伊豆長岡温泉から取り寄せた温泉まんじゅうを販売しました(その時の記事はこちら)。

駒場祭で温泉まんじゅうを販売している写真
駒場祭で出店した屋台「おける亭」では温泉まんじゅうを販売!

屋台ではただ温泉まんじゅうを売るのではなく、手作りの温泉街の散策マップや温泉まんじゅうの食べ比べチャートも配布し、お客さんに伊豆長岡温泉の魅力を最大限知ってもらおうと部員で力を合わせて頑張りました。

今回は、その駒場祭でご協力いただいた伊豆長岡温泉で事前フィールドワークを行った際のレポートをお伝えします!

温泉まんじゅうを作っている様子の写真
毎年温泉まんじゅう祭りを開催するほど温泉まんじゅうに力を入れている伊豆長岡温泉
風情のある温泉街の街並みの写真
風情のある温泉街の街並み

伊豆長岡温泉とは!?

伊豆長岡温泉は古奈地区と長岡地区からなる温泉地。古奈温泉は鎌倉幕府の将軍家も愛したと伝わる開湯1300年の温泉場と云われ、一方の長岡温泉は明治以降に開かれた比較的新しい温泉場です。

温泉街には旅館が35軒、共同浴場が3ヶ所、足湯が4ヶ所あります。古くから権力者や政府の要人に親しまれてきた関係で高級なたたずまいの旅館が多い温泉場ですが、学生向けプランや素泊まりプランの宿もあり、様々なニーズに対応しています。

共同浴場の長岡南浴場入口の写真
共同浴場の長岡南浴場

そんな伊豆長岡温泉において、駒場祭の出店を控えた11月上旬、東大温泉サークルOKRでは1泊2日の秋合宿を実施してフィールドワークを行いました。目的は温泉饅頭屋さんへの挨拶や足湯巡り、手作りマップ作成のための温泉街の散策など様々!

そんな秋合宿では伊豆の国市観光協会の方のご紹介もあって「えふでの家 小松家八の坊」さんに宿泊しました。八の坊さん自慢の食事レポや温泉の紹介をはじめ、専務の望月敬太さんの熱いインタビューをお届けします!

伊豆長岡温泉 「小松家 八の坊」さんの入口での集合写真
八の坊さんでの集合写真

小松家八の坊さん宿泊レポート

小松屋八の坊とは?

小松屋八の坊さんは伊豆長岡温泉の南側の長岡地区にある、客室数42室、収容人数が最大230人という中型旅館。外観はやさしいベージュ色で館内は和の趣を基調とした落ち着いた雰囲気です。宿のコンセプトは「おもてなしと心ふれあう出逢いの宿」。料理と接客に強いこだわりを持つ湯宿です。

源氏山公園から望む「小松家 八の坊」さんの写真
源氏山公園から望む「八の坊」さん

この旅館に来るとまず目につくのがお隣の「小川家」さんとの間にある足湯。この土地出身の絶世の美女・あやめ御前が源頼政と恋に落ちたという言い伝えにちなんで「出逢いの湯」と呼ばれる足湯は、「八の坊」さんと「小川家」さんの隣り合う2つの旅館が共同で作ったもの。

競合相手でもある旅館同士が壁を取り払って作った足湯には、宿のコンセプトである「心のふれあい」が感じられます。

「小松家 八の坊」さんと「小川家」さんの間にある出逢いの湯の写真
「八の坊」さんと「小川家」さんの間にある出逢いの湯
浴槽の底にみえるハートマークの写真
浴槽の底にはハートマークが!
小川家さん側にあるわんわん風呂の写真
小川家さん側にはペットも入れるわんわん温泉も!

最先端の源泉管理システムを採用!お湯を大切にする伊豆長岡ならではの温泉

伊豆長岡温泉は35軒の温泉旅館がひしめく温泉地。各旅館が好き勝手にお湯を引いていたら限られた資源である温泉水はいつか枯渇してしまいます。

そこで伊豆長岡温泉で採用されているのが、源泉の一括管理システム。

宿ごとで規模や時間帯・客数などによって異なるお湯の必要量に応じて、温泉事業組合が臨機応変に温泉水の供給量を調整しており、源泉が枯渇しないように資源を大切に使っているそうです。

「小松家 八の坊」さんのお部屋から望む景色の写真
「八の坊」さんのお部屋から望む景色
足湯「よりともの湯」の写真
地元の方で賑わう足湯「よりともの湯」。伊豆長岡温泉は日本でもいち早く源泉の集中管理を導入した先駆的な温泉地なんだとか

そんな温泉を大切にする伊豆長岡温泉のお湯が、展望大浴場をはじめ、家族風呂や客室露天風呂で存分に楽しめるのが「小松家八の坊」さん。グループ旅行の大勢で楽しみたい人も、カップルや親子でプライベートを満喫したい方も温泉を楽しめます。

八の坊さんの大浴場

そんな八の坊さんでもお湯を大切に使う工夫が。まず、源泉管理システムによって必要分だけ供給された温泉水はフロントロビー横の送水管を通って大浴場に運ばれます。大浴場を出たお湯は各階の客室露天に使われ段々と階下に降りてゆき、最後には1F玄関にある足湯「出逢いの湯」の水に使われます。

客室露天のお湯が温泉水ではない旅館も多い中、限られた資源の中で温泉水を最大限活用する知恵が垣間見られました。

伊豆長岡温泉 「小松家 八の坊」の露天風呂の写真
日の光が明るく差しこむ、広々とした露天風呂(八の坊提供)

魚は朝4時に沼津市場まで買い付け!?こだわりの料理レポ!

みなさんお待たせしました!自他ともに認める「小松家 八の坊」さんの一番のウリ、食事のレポートです。もちろん訪れたメンバーの評判も一番。必見です!

八の坊さんのお食事は朝夕とも旅館スタイルの和御前。その魅力は一言で表せば「素材にも勝る腕」。一流料亭のシェフも務めた料理長が、限られた予算制約の中、厳選した素材の良さを最大限生かしたお食事作りをされているそうです。

伊豆長岡温泉 「小松家 八の坊」の豪勢な夕食の写真
料理長のこだわりが詰まった豪勢な夕食!(八の坊提供)

予算を抑えておいしい料理を提供する。その努力を物語るのが、毎週行っている沼津漁港への買い付け。私たちの取材にも答えてくださった専務の望月さんと料理長の2人が、朝4時に旅館を出て自分たちの目で魚を選んでいるそうです。

夕食・朝食とも量は十分で種類も豊富。地元産にこだわった料理が、ただ地産なだけではなくしっかりと満足できる味わいだったのが印象的でした。夕食では〆の釜めしや土瓶蒸しが、朝食ではオリーブオイルで食べる手作り豆腐が、メンバーの中で特に好評でした。

伊豆長岡温泉 「小松家 八の坊」の夕食に出た「鰆の味噌焼き」の写真
夕食に出た「鰆の味噌焼き」。選りすぐりの海の幸は身が柔らかく上品な味でした。
伊豆長岡温泉 「小松家 八の坊」の夕食に出た「お造り」の写真
定番のお楽しみ「お造り」。
伊豆長岡温泉 「小松家 八の坊」の夕食に出た肉料理の写真
魚、魚と来ましたが、肉料理だってあります!

長岡を盛り上げる会!?「小松家 八の坊」専務・望月さんの熱いインタビュー

伊豆長岡温泉 「小松家 八の坊」望月専務のインタビューの写真
望月専務

「小松家 八の坊」さんでは忙しい時間の合間を縫って、専務の望月さんが取材に応じてくださいました。伊豆長岡温泉の町おこしのため、長岡を盛り上げる会―通称「長盛隊」でも精力的に活動されている望月さん。旅館のこだわりや今後の展望について話を伺いました!

  八の坊さんの特にオススメなところはどこですか?

特に力を入れているのは料理です。あとは従業員さんのサービス。ハードは少しずつ投資していくしかないですが、ソフト面には自信を持っています。

  料理に何かこだわりはありますか?

料理長が手をかけて出来るだけ良いものを安く仕入れ、お客さんにいい状態で提供できるように手をかけていることが一番のこだわりですね。いい魚を出来るだけ安く食べてもらおうと考え、直接沼津港まで朝買い付けに行っています。

伊豆長岡温泉の茶畑の写真
お茶どころ静岡にある伊豆長岡温泉。茶畑から世界遺産「反射炉」(写真左)を望みます。

  伊豆長岡温泉の特徴、「ここに行ってもらいたい」というところを教えてください

長岡温泉地区は大正ごろに開湯したのですが、当時は山梨の石和温泉が“色”で売って栄えていて、それに対抗する形で伊豆長岡温泉も芸者さんが有名な“色街”として栄えました。その当時の名残で今でも芸者さんがいて、かっこいいので是非みなさんに見ていただきたいと思っています。芸者は“伝統芸能”なので、女性の方にも見に来ていただきたいですね。

あとは七福神めぐりというのもやっていて、スタンプラリーも出来ます。

  いろいろなイベントもやっていると聞いています。

そうですね、いろいろなイベントもやっていて僕は「長盛隊」(長岡を盛り上げる隊)で活動しています。(詳しくは後述)

  温泉の特徴を教えてください。

冬に来ていただくと分かるのですが、温泉に入るとポカポカしてTシャツ1枚でいられるほどです。あとは無味無臭ということ。源泉は飲めますが、微量のヒ素が含まれているので多量摂取は出来ません。

伊豆長岡のシンボル「姫の足湯」の写真
伊豆長岡のシンボル「姫の足湯」は源泉かけ流し。
「姫のあし湯」飲泉所の写真
飲泉も出来ます!癖がなく飲みやすい温泉水です。

  今後「長盛隊」でやりたいことはありますか?

正月の餅つきなど今も年4回ほどイベントを開催していますが、目標としては温泉地全体でイベントを開催したいです。普段のイベント開催にあたってはまた伊豆長岡に来たくなるような「思い出になる温泉場」を目指していて、今取り組んでいるのはうちも含めた3つの旅館合同で創作料理を出すイベントです。

3旅館というと簡単なように思うかもしれませんが、それぞれの旅館の料理人は普段こだわりを持って仕事をしていて、3軒の個性を生かしながら合同で料理を作るのは中々難しいんです。この企画は個性の違う色々な旅館の料理が一度に楽しめるのでお客さんにもご好評いただいており、将来的にはこれを発展して全35軒の料理人が集まって宿泊客にそれぞれの個性を生かした料理を提供する5万人規模のイベントを行ってみたいと考えています。

温泉街にある旅館の料理人が一堂に会することは滅多にありませんから、お客さんに楽しんでもらえるのではないかと思っています。

  望月さん、お忙しいところありがとうございました。

望月様と部員で記念撮影した写真
望月様と部員で記念撮影

以上、東大温泉サークルOKRの「おける湯学日記」第一回は伊豆長岡温泉の旅館【小松家 八の坊】のご紹介でした!旅館だけでなく、伊豆長岡温泉の魅力や取り組みを知っていただけたら幸いです!

また【小松家 八の坊】の望月さん、スタッフの皆様、ありがとうございました!

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本記事の情報は記事掲載時のものであり、現在とは異なっている場合がありますので、予めご了承ください。

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東大温泉サークルOKR(おける)
OKRは温泉好きが集まった「温泉と真剣に向き合う」学生サークルです。 日本人の9割以上は1年で5回以下しか温泉に行かないというデータがあります。「これでは日本の温泉資源がもったいない!」そう思った私たちは、大好きな温泉の魅力を多くの人に伝え、温泉がもっと身近な存在になるよう活動しています。