【動画&写真】人生で一度は行きたい!イタリアにある「滝の温泉」へ行ってきた【サトゥルニア温泉】(Terme di Saturnia)

テレビや雑誌で「人生で一度は訪れたい!」とも言われるイタリアにある「滝の温泉」こと「サトゥルニア温泉」。今回は「世界一美しい天空都市」オルビエートや、天空の城「チヴィタ」とともに動画と写真でご紹介します。

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(現在Yutty!では、新型コロナウイルスの影響を受け、昨年以前に取材した施設を再構成して掲載しています)

サトゥルニア温泉の写真

人生で一度は訪れたい滝の温泉

イタリア共和国の首都ローマから北西に150km、約2時間。トスカーナ州南部に、テレビや雑誌で「人生で一度は訪れたい温泉」と称される温泉があります。

その名は【サトゥルニア温泉】(Terme di Saturnia)
今回は「世界一美しい天空都市」オルビエートや、実在した天空の城「チヴィタ」など、人生で一度は訪れたいスポットも多い「サトゥルニア温泉」をご紹介します。
動画(サトゥルニア温泉&チヴィタ)はこちら↓↓

※本記事の写真はすべてYutty!編集部が撮影したものです。媒体を問わず、あらゆる無断引用を禁じます。

1. 滝の温泉「サトゥルニア」

サトゥルニア温泉の写真
ローマの喧騒を離れ、なだらかな丘陵地帯を抜けると、真っ白な水が流れる滝が見えてきます。
これが今回紹介する「サトゥルニア温泉」。「サトゥルニア」というのはこの一帯の地名で、ローマ神話の「農耕神サトゥルヌ」からきているとか。サトゥルヌ神の加護のおかげか、トスカーナは水と緑に恵まれた本当に豊かな土地です。
この滝の温泉は正式にはムリーノの滝、ゴレッロの滝と呼ばれています。上流をゴレッロの滝、下流をムリーノの滝と呼び、二つの滝を合わせて「サトゥルニア温泉」とされています。

入浴料無し!脱衣所も無し!

サトゥルニア温泉の写真
「天然」の温泉なので入浴料は無料、車で乗り付ければそのまま温泉に直行できます。
ただし!脱衣所などは無いので車の中で水着へ着替えるか、中に着込んで行くのがベスト。
イタリアの温泉は水着を着て入るのがマナーなので、絶対に裸で入らないでくださいね。
滝のそばに小屋のような建物がありますが、倉庫のようなもので、事務所やロッカーなどもないので、貴重品は宿泊しているホテルに預けるか、ツアーガイドさんなどに預けるのが良いでしょう。
お店が出る場所の写真
ハイシーズンにはカフェなどが出るが、冬季は閉鎖されている。
お店が出る場所にあるメニュー表の写真
アイスクリームやピザなど軽食が食べられるらしい。

サトゥルニア温泉のベストシーズンは夏ということで、ハイシーズンには屋台やバーなどが出店するようですが、取材した時期はお店などはありませんでした。

どこから入浴すればいいのかわからない!

サトゥルニア温泉の写真
さて、いざ入浴です。
サトゥルニア温泉の写真
ところが、どこから入ればいいのかわからないのです。
そして怖い!!まさに滝ですから、怒涛の勢いで流れ込む水は激流です。入りやすいように人の手が加えられている日本の岩風呂とは話が違います。

サトゥルニア温泉の激流の写真

ふらふらと入りやすそうな場所を見つけて、意を決して入ります。

サトゥルニア温泉の写真

いざお湯に入ってみると・・・ちょっとぬるかったです。

サトゥルニア温泉の写真

湯温は温かいところで36℃くらい。平均37℃くらいだそうですが、冬季ということもあり温度が低かったようです。サトゥルニア温泉のシーズンが夏というのも頷けます。

サトゥルニア温泉の写真

それでもイタリア人の人たちには、それくらいの温度がちょうどいいくらいのようで、流れの急な場所やゆっくりの場所など、思い思いの場所で入浴を楽しんでいました。

サトゥルニア温泉の写真

温泉は上流から下流に流れていき、最後は川と一体になって流れていきます。下流にはイトミミズや赤虫のような虫が生息している場所もあるので、あまり下流には入らないほうがよさそうです。

サトゥルニア温泉の川の写真
滝の裏手を登って上流に行ってみると、温泉が川になっていました。こちらのほうが滝の下より若干温度が高く日本人好みかもしれません。
サトゥルニア温泉の川辺の写真
ハイシーズンになると、入浴客は川辺にレジャーシートやキャンプ椅子を置いて交互浴を楽しむ。
サトゥルニア温泉の最も上流の写真
最も上流。このあたりは浅くて入浴には向かない。

源泉はここからさらに700mほど上流にあり、40℃ほどの温泉が毎秒(!)800リットルも湧出しています。

サトゥルニア温泉の写真
もはや析出物なのか岩なのかすらわからない
温泉は大理石のように青白く、硫黄の香りが漂います。香りからわかるように泉質は硫黄泉で、皮膚病、呼吸器、循環器、関節痛などに効果が期待できます。水底にたまっている泥はイタリア語で「ファンゴ」、つまり泥パックができるとして人気です。

施設情報

  • 施設名: Terme di Saturnia
  • 住所:
  • 営業時間: 24時間
  • 休業日: 年中無休
  • 料金:無料!!
  • 設備:ロッカー・脱衣所・石鹸・タオル・サンダルすべて無し
  • 公式HP: なし
  • その他: 要水着、販売なし

2. 日帰り温泉もあります

Hotel Terme di Saturniaの外観の写真
源泉の近くには大きく立派な温泉ホテル【Hotel Terme di Saturnia】があり、こちらも日帰り入浴が可能です。

施設情報

  • 施設名: Hotel Terme di Saturnia
  • 住所: Loc, Via della Follonata, 58014 Saturnia GR
  • 営業時間: 冬季9:30~17:00、夏季9:30~19:00(最終入場は8時30分)
  • 休業日: なし
  • 料金:25€~。
  • 設備:石鹸あり。タオル、バスローブ、サンダルのレンタルあり(有料)
  • 公式HP: https://www.termedisaturnia.it/en
  • その他: 要水着、販売あり

3. おいしいワインに舌つづみ

サトゥルニア村の街並みの写真
サトゥルニア村の街並み
サトゥルニア温泉の北に、小さなサトゥルニアの集落があります。本当に小さくてかわいい村なのですが、サトゥルニアを観光する場合はこちらが起点になります。
サトゥルニア村の街並みの写真サトゥルニア村にいる犬の写真サトゥルニア村の街並みの写真サトゥルニア村の街並みの写真
トスカーナといえば、トスカーナワインにトスカーナ料理!ということで、ガイドのルチアンナさんがサトゥルニア村にあるイチオシのレストランに連れて行ってくれました。
今回伺ったのは口コミサイトでも高評価のお店、【Bacco & Cerere 2.0 Ristorante】。
Bacco & Cerere 2.0 Ristoranteの外観の写真
観光客向けのレストランが並ぶ村の広場から一本入ったところにあるビストロです。
Bacco & Cerere 2.0 Ristoranteの料理の写真
代官山の小さなカフェのようなお店ですが、料理は本格的!生ハムのセラーノからイノシシ肉のニョッキ、ほうれん草のフェットチーネなど、どれも美味しくてその味が忘れられません。またトスカーナはワインの名産地、日本には輸入されていないような地元のワインは透き通ったよどみない味で、何杯でも飲めてしまいそうだったのを覚えています。イタリアはやはり水と緑の豊かな国なのだと実感しました。
Bacco & Cerere 2.0 Ristoranteのテラス席の写真
こちらのお店、テラス席もあり、暖かい日にはトスカーナの風を調味料に、おいしい料理をいただけることでしょう。

Bacco & Cerere 2.0 Ristoranteの料理の写真Bacco & Cerere 2.0 Ristoranteの料理の写真Bacco & Cerere 2.0 Ristoranteの料理の写真Bacco & Cerere 2.0 Ristoranteの料理の写真Bacco & Cerere 2.0 Ristoranteの店内の写真Bacco & Cerere 2.0 Ristoranteの看板の写真
(↑クリックすると写真が拡大されます)

  • 店名: Bacco & Cerere 2.0 Ristorante
  • 住所: Via Giuseppe Mazzini, 4, 58014 Saturnia GR
  • 営業時間: 休日はランチとディナー、平日はディナーのみ
  • 休業日: 木曜日

4. いまも滅びゆく絶壁の街「チヴィタ」

『天空の城ラピュタ』は実在した!

チヴィタの景色の写真

サトゥルニアの70kmほど東、オルビエートの南側に突如現れる陸の孤島「チヴィタ・ディ・バニョレージョ」(Civita di Bagnoregio)───通称「チヴィタ」

チヴィタの景色の写真

2500年前にエルトリア人によって建造された城壁都市でしたが、長年の風雨や地震にさらされ都市の外縁が崩壊していき、現在の姿になりました。現在も崩壊は進んでおり、「死にゆく町」(il paese che muore)と呼ばれます。

チヴィタの坂にいる猫の写真チヴィタの坂にいる猫の写真

チヴィタは約300mの橋を徒歩で渡るのが唯一のアクセス方法です。長い橋ときつい坂を上り終えるとたくさんの猫が迎えてくれました。

町の人口は現在10人程度で、人より猫のほうが多いとされています。私たちは一匹の猫に案内されて町の中へ足を踏み入れました。

チヴィタの街並みの写真

チヴィタの街並みの写真

写真

荒廃した外観とは一変、町の中は綺麗に整えられています。古い教会や貯蔵庫などが保存されており、見学が可能です。またレストランやお土産屋もあり、町の中はちょっとしたテーマパークです。

この「チヴィタ」、私たち日本人にはどこかで見たことがあるような気がしませんか?

写真

そう、宮崎駿監督の「天空の城ラピュタ」は、このチヴィタをモチーフにしたとも言われているのです。

チヴィタの街並みの写真

オルビエート駅からもバスが出ており、比較的アクセスは簡単なので、もしサトゥルニアまで行けない場合もぜひ訪れていただきたいスポットです。

あまりにもご紹介したい写真が多いのでフォトアルバムにまとめました。画像をクリックすると拡大されるのでご覧ください。

チヴィタの街並みの写真チヴィタの街並みの写真チヴィタの景色の写真チヴィタの景色の写真 チヴィタにいる猫の写真チヴィタにいる猫の写真チヴィタにいる猫の写真チヴィタの街並みの写真 チヴィタの街並みの写真チヴィタの街並みの写真チヴィタの街並みの写真チヴィタの街並みの写真チヴィタのショップの写真写真写真チヴィタの景色の写真 チヴィタの景色の写真チヴィタの街並みの写真チヴィタの街並みの写真チヴィタの街並みの写真
(↑クリックすると写真が拡大されます)

5.「世界一美しい天空都市」オルビエート

オルビエートの景色の写真

サトゥルニア温泉への入口であったオルビエート(Orvieto)、こちらも古い城壁都市です。チヴィタと同様、エルトリア人によって建造されました、人口2万人を有する現役の都市です。

日本人にはあまり馴染みのないスポットかもしれませんが、ヨーロッパでは「世界一美しい天空都市」と呼ばれており、日本の前橋市とも姉妹都市提携を結んでいます。

オルビエートの景色と猫の写真

オルビエートはゴシック建築の「宝石大聖堂」を中心にまるで町そのものが美術館・博物館のようで、町を歩いているだけで中世イタリアにタイムスリップしたようです。

イタリアの都市の中でも特に治安がよく、雑貨屋さんやレストランも多いですので、ぜひイタリア観光の際はオルビエートを訪れてトスカーナ地方を楽しんでください。

オルビエートの景色の写真 オルビエートの景色の写真
(↑クリックすると写真が拡大されます)

6. アクセス

鉄道で

オルビエート駅の写真

最寄りのオルビエート駅はローマ中央駅から1時間の場所にあります。国際特急列車ICなども停車するので、イタリアに限らずヨーロッパ各地からアクセスが可能!
ただし、ここからサトゥルニア温泉行きの路線バスで約2時間はかかります。せっかくなのでオルビエートやサトゥルニアのホテルに滞在してゆっくりするのをおすすめします。

自動車で

ローマ市街から高速道路を北に約2時間。レンタカーなどが利用できるのであれば、日帰りも可能です。

7. 編集後記

サトゥルニア温泉とYutty!プロデューサーの上田部長の記念写真

チヴィタとYutty!プロデューサーの上田部長の記念写真

編集長
「人生で一度は行きたい温泉」ことサトゥルニア温泉ですが、じつは当初、取材スケジュールには入っていませんでした。

上田部長
ドイツでの温泉取材のあと、列車でそのままローマ入りする予定だったね。

編集長
「寝台列車が大好き」という私の超個人的な希望で、あえて空路ではなくミュンヘン発ローマ行の夜行列車「ナイトジェット」を手配しました。

上田部長
夜行列車ね、俺も若い頃はよう乗ったわ。久しぶりに学生時代に戻った気分で楽しかったな。

編集長
ところがそのあとで路線図を眺めていたら、なんと私たちが乗る予定の列車がオルビエートに停車することに気づいたんです。

編集長
「オルビエートといえばサトゥルニア温泉の玄関口じゃないか⋯⋯!」───それはもう興奮しましたよ。これはきっと農耕神サトゥルヌのお導きなのだと!

上田部長
フォースの導きやね。

編集長
すぐさま「ナイトジェット」を運行するÖBB(オーストリア国鉄)に、私たちのチケットは「前途放棄での途中駅下車」(途中駅で下車し、その先のルートは自ら捨てること)が可能なのかを問い合わせ、無事OKという返事を得ました。

上田部長
ずいぶん念入りやな。

編集長
日本の乗車券でも、例えばツアーのチケットだと、「途中下車」はもちろん「前途放棄での途中駅下車」が認められず、下車駅までの運賃を別途払わないといけないことがあります。なので、念のためÖBBに問い合わせたんです。

上田部長
ホンマに君はマニアやな~。

編集長
あ、話が逸れてしまいました。サトゥルニア温泉ですが、部長の印象を教えてください。

上田部長
やっぱり色と温度やね。イメージとしてはアイスランドのブルーラグーンに近い。滝の轟音に包まれて、白い湯から首だけだして自分と向き合う。身も心もあらゆることから解放されて「自由」になれる。あの色、ぬるさ、広さの組み合わせは日本には無い特徴やね。

編集長
日本にも湯布院などブルーの温泉*がありますが、どちらかといえば知る人ぞ知る秘湯という感じですし、棚田になっている温泉は聞いたことがありません。

*参考リンク(画像をクリックすると記事に移動します)

上田部長
寒くて余計ぬるかったのもあるけど、気づいたら2時間も経ってて驚いたわ。これまで北半球を中心に世界中の温泉に入ってきたけど、2時間入りっぱなしなんて数えるしかないよ。

編集長
ガイドさんも「長すぎるわよ!」って苦笑いしていました。

上田部長
ところでガイドさんに連れて行ってもらったランチのワイン、ほんま美味すぎたな。

編集長
あれは本当に美味しかったですね!あれからどんなワインを飲んでも「あのサトゥルニアで飲んだワインが飲みたい⋯⋯」と思う身体になってしまいました。ラベルは控えてあるのですが、検索してもヒットしません。本当の地ワインなのだと思います。

上田部長
いい温泉がある場所には、美味い酒と飯がある。これは世界共通の真理やね。

編集長
次回はぜひ暖かい時期に行って、ドローンで撮影でもしたいですね!

ガイドのルチアンナさんとYutty上田プロデューサーの記念写真。レストランにて。
レストランにて、ガイドのルチアンナさんと

本記事の情報は記事掲載時のものであり、現在とは異なっている場合がありますので、予めご了承ください。

【動画&写真】人生で一度は行きたい!イタリアにある「滝の温泉」へ行ってきた【サトゥルニア温泉】(Terme di Saturnia)

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大谷優介

大谷優介

Yutty!編集長、歴史トラベルライター。歴史と入浴文化を中心に世界各地を取材。元温泉ホテル設備管理者。水利用施設環境衛生士、温泉健康指導士。えにし書房『台湾へ行こう! 見えてくる日本と見えなかった台湾』(藤田賀久, 大谷優介/平賀匡)著、集英社「週刊プレイボーイ」『新世代スーパー銭湯対決!』取材協力など。