こんにちは!東大温泉サークルOKRの橋本惇です。
「日本は温泉大国」「温泉に入ると日本人で良かった」というのはよく聞きます。
しかし、温泉は世界中にあります。お隣の国・中国だって実は温泉があります。しかも世界遺産!……そうと知っては放っておけないのが僕たちOKRメンバー。
今回は中国に帰っている留学生の友人に会いに行くついでに中国の西安郊外にある天然温泉「華清池」に行くことにしました。
いざ西安へ
成田から4時間弱で西安へ。
都市は整然と開発され、幅の広い道路が縦横に張り巡らされ、市民はシェアサイクルで移動。一方で古い団地や屋台も残り、自動車に交じって三輪車が荷物を満載してノロノロと走る。
驚いたのはどこに行っても食事が美味いことです。何を食べても本当にハズレがない、そして安い。久々に会う友人と美味しい食事を囲んで会話も弾みます。
まずは腹ごしらえ
西安滞在二日目の朝、ついに温泉に行くことにしました。
スマホで予約できるタクシーは日本と比べてはるかに安く、5人で割れば1日3,000円弱で移動できます。しかし、せっかくの滞在だから寄り道。タクシーの運転手さんに地元の人がよく集うオススメの食堂を教えてもらいました。
そして、朝食に、と勧められた店は映画の中のような昔ながらの食堂。
スチール製の “椅子”と“机”を軒先に出して山椒たっぷりの具沢山スープに蒸しパンをちぎり落として食します。羊肉をたっぷり包んだ焼きまんじゅうも食べてすっかりお腹が満たされました。
始皇帝陵にも寄り道
それから始皇帝陵へ。(兵馬俑は大迫力でしたが、ここでは省略)
華清池と始皇帝陵は意外と近く、一日で西安の歴史を巡る旅をするなら両方寄るのが黄金ルート。
これらの有名な遺跡はどれも市街地から遠く、30kmくらいありますが、一度郊外に出てしまえば遊び尽くしてから市街地に戻る方をおすすめします。
いよいよ天然温泉へ
華清池というのが、今回の目的地、温泉があるところです。
ハイウェイに向かって建てられた大きな看板には、「長恨歌」と書き添えられていました。そう、まさにここが、今から1300年ほど前の唐の時代に、玄宗皇帝と楊貴妃が国を傾けるほどの熱い恋愛を遥か昔に繰り広げたところなのだ!と期待が高まります。
入園料150元(約2,500円)を払って中へ。
秦・漢の時代から温泉が湧いていたというこの地は、近くの山の名から驪山温泉とも呼ばれています。「池」は温泉という意味で、華清宮とも華清池とも呼ばれています。
入ってすぐのところに、足湯がありました。園内はとても広く、全て回るのは半日では不可能。
温泉に入ることが目的で来たからには、全て見て回ろうとあくせくするよりも温泉を選ばなければ。それに、今は旅の疲れがたまってきているで、足湯に直行します。
足湯の入浴料は一人50元、約850円と少々高め。
多くの温泉地では足湯は無料で気軽に入れるように整備されているので、一瞬お金を出すべきか迷ってしまいましたが、こんなことで温泉を諦めていてはOKRメンバーもすたるというもの。
その分長湯してやろう、と話しながら入浴券を購入。タオルを渡されて案内されたのは隣にある石造りの掘りごたつのような浴槽でした。真ん中にはテーブルがついていて、足湯に入りながら飲食もできるという優れもの。
そして何より、グループごとに温泉を独占できるのです。それは、この足湯の造りだけのことではなく、なんと、人が来るたびにお湯を張り直してくれるというから驚きます。
いっぱいになると水位は保たれながらも常に新鮮なお湯が出続けていて、素晴らしいです。
まだ少ししかお湯が溜められていないが、早速ズボンをまくって足を入れました。ぬるめに温められていて長居できそうです。
ほどなくして、受付のお姉さんがお盆に牛乳とお茶と果物を載せてやってきました。留学生の友人が「不要」と断っても3回くらい来ました。なんだかリゾートにいるような気分でした。
それにしても、中国でも温泉と牛乳がセットとは、驚くべきことです。
足湯で疲れを吹っ飛ばす
お湯はほぼ無色透明で、浮遊物もありません。ぬめりはあって肌に優しそうでした。味も確かめようと湯口に手を近づけました(※飲泉が認められている温泉は少なく、健康への影響は自己責任です)。
湯口のお湯は少し熱めで、湯口に近い側に座っている友人は早くも汗ばみ始めて上着を脱いでいましたが、これも納得。お湯の味はというと、若干の塩味を感じたので、日本流に分類するとしたら塩化物泉となるでしょう。
僕も体が内側から温まってきたので上着を脱ぎました。疲れがどっと出たのか口数は少なくなりましたが、たまに今回の旅行を振り返る話題で盛り上がります。
静かながらも充実した時間が流れていました。
「足湯で疲れをfoot bath」とはよく言ったもので、本当に足湯で疲れが取れました。
一瞬足を離してみると、すっかり軽くなっていることがわかりました。これで広い園内を元気に歩き回れそうです。何しろまだ僕たちは入園してから百歩も歩いていません。すぐのところの足湯にとどまっているのです。
気づけば、とっくに水位は上がらなくなりました。
それでも新鮮なお湯が注がれ続けています。団体客がドカドカとやってきて、こぞって足湯に入りにきました。賑やかにしている彼らのもとに、僕たちが断った牛乳の載ったお盆が回ります。
少し日が傾き始めました。もう1時間以上足湯に入っていますが、まだ誰も出たがりません。
そろそろ歩き始めないともったいないという気持ちがしてきて、何回か「そろそろ行こうか」という声が上がったところで全員お湯から離れる決心がつきました。
楊貴妃が入ったという浴槽も
園内は本当に広く、足湯がある側の入り口からもう一つの入り口まで、まっすぐ歩くだけでも20分くらいかかりそうでした。
途中には、戦時中の中華民国総統・蒋介石の応接間や寝室、浴室などが見られるようになっていて、唐代の歴史だけでなく100年ほど前もここが歴史の舞台だったことがわかります。西安事件で銃弾が貫いたガラスも残されていました。
西安事件とは、1936年に当時中華民国総統だった蒋介石が張学良によって拉致されるという衝撃的な事件です。これをきっかけに、共産党との合作が進み、抗日戦線が組織されました。
丘を登って、市街地を一望。曇っていたので眺めは良くありませんでしたが、かなり高くまで登ってきたことを実感できました。
丘を降りて、いよいよ唐代の遺跡を見に行きます。楊貴妃の入ったという浴槽が残されているというので、期待が高まります。
いざ見てみると、本当に広くて、僕のイメージしていた「浴槽」ではありませんでした。
お湯をいっぱいまで入れたら立っても足がつかないような深いもので、おそらく半分くらいまでお湯を張ってプールのように入ったのではないかと思います。石造りの浴槽は砂埃をかぶってはいますが、いかにも中国らしく風格がありました。
世話係たちの浴槽、太宗帝の浴槽、楊貴妃の浴槽、玄宗の浴槽と四つありますが、楊貴妃の浴槽は少し小さめでした。
最後に
これでも時間はありませんでしたが、なんとか温泉関係のものだけでも味わえました。
本当はもっと長くいたかったのですが、後悔することがあるからこそまたその場所に行きたくなるのだ、と紀行作家の宮脇俊三が言っているように、僕もまた西安を訪れたいと思いました。帰りの車から見た夕焼けはとても美しかったです。
本記事の情報は記事掲載時のものであり、現在とは異なっている場合がありますので、予めご了承ください。
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